錦秋のならまた湖

odo

2017年11月09日 22:00

11月3日(金)にならまた湖(群馬県みなかみ町)で漕いできました。
ならまた湖は、楢俣川に位置する奈良俣ダムのダム湖です。
3日のならまた湖 天候:晴れ 気温:17℃くらい 貯水率:99.7% 貯水位:約887.9m

私が出かけることが多い標高1,000m付近に位置する湖の紅葉が見頃になる10月中旬から下旬にかけての週末は、台風が近づくなど天候にあまり恵まれませんでした。11月の3連休は1日だけでも青空のもとで紅葉カヤックが楽しめればと祈っておりました。

そういえば先々週出かけた奈良俣ダムが10月30日に満水位となり、自然越流による放流が始まったとのことでした。奈良俣ダムがこの季節に満水となることはめずらしいことであり、この条件のならまた湖を漕いだことがなかったため、以前から大変興味がありました。奈良俣ダムの紅葉は一週間ほど前に最盛期を迎えたとのことでしたが、まだまだ木々の色づきを楽しめそうでした。3日の文化の日、奥利根の天気は晴れの予報、ここぞとばかりに出かけてきました。念がつうじたかなw



小春日和となったこの日、澄み渡った秋空のもとならまた湖で錦秋の絶景を満喫してきました。

みなかみに到着すると利根川に架かる諏訪峡大橋から朝日に照らされる谷川連峰が見えました。尾根付近の山肌はかすかに白くなっていました。最近の冷え込みで雪が降ったようです。橋から見えた諏訪峡は紅葉が見頃を迎えていました。この場所から谷川連峰がくっきり見えると奥利根は好天のことが多いようです。今日の紅葉カヤックは期待できそう。



出艇場所はいつものオートキャンパーズエリアならまたの湖畔です。駐車場に停車し湖面を見渡すと水面からはうっすらと霧が立っていました。すでに紅葉カヤックを楽しまれている方々も。こんな幻想的な湖上で漕いでみたい・・・、焦る気持ちを抑えますw



コンクリート製の階段の上で艇を組み立てます。キャンプ場の管理棟で駐車料金を支払い入湖届を提出し、準備を整え出艇しまーす。艇を組み立てた階段のすぐ下が水際ですので運搬はほんのわずかです。出艇する頃には湖面に日が差し、霧はすでになくなっていました。。



この日は5月の新緑の季節に漕いだ「新緑のならまた湖」のときと同じように出艇場所から右回りで地名を巡りつつ湖面を周回します。ならまた湖地名図を参照にしながら紅葉見に出発です。興味深い場所を中心に巡りましたので、すべての地名は巡っていません。



地名を巡りながら併せてならまた湖に流入する沢も巡ってみます。


以下にでてくる名称は、オートキャンパーズエリアならまたのホームページに掲載されている「ならまた湖地名図」に記載がある地名等を引用させていただいております。【 】はエリア、『 』はゾーン、《 》はポイントを表します。後ろの括弧書きは地名の由来になります。こちらも同ホームページからの引用です。

出発した直後、キャンパーズビーチ(キャンプ場正面の広い場所)の右手にカラマツの黄葉が広がります。のっけからの鮮やかな景色に気分が高まります。



ウォーターワールド(こぎ始めて初めて目にする湖面のエリア)を通過してウィンディストレート(午後に強い向かい風になる広いエリア)に入ります。



エスケープ(風が吹いても影響がほとんどないエスケープポイント)とビートルズ(この小さなワンドでは風の吹き溜まりで昆虫がよく見つかる)の間ぐらいの斜面だったかな、まばらですがブナの黄葉を見ることができました。ブナの多くは色が褪せているか落葉していました。白い樹幹が目立ちます。



東の方向に尾瀬の山並みが見通せました。左から至仏山、小至仏山、小笠、笠ヶ岳です。山肌が陰っているため見えていませんが、山々は冠雪していました。帰りにまた眺めてみよっと。



リトルカナダ(まるでカナダのような景色)の入り江に進みます。

入り江を少し進むと左手に一面が岩肌で覆われたウォール(巨大な岩壁)が現れます。岩と紅葉の組み合わせがいい感じ、橙色の低木はミヤマナラかな。



板目沢方面の斜面は日かげのため暗い感じです。日差しによって鮮やかさが一変するため、紅葉を楽しむには訪れる時間が肝要です。帰りにまた寄ってみよっと。



入り江の突き当りにあるのがジャイアントロック(切り立った大きな岩がある)です。紅葉の見頃は過ぎてしまった感じですが、常緑針葉樹の深緑と落葉広葉樹の多彩な色合いの調和が見事でした。



ジャイアントロックの奥にある幽倉沢(写真左)と対岸に位置する板目沢(写真右)です。新緑の季節は雪で埋もれていることが多く全容を見ることはできません。



リトルカナダからウィンディストレートを抜けてサンシャインヴィレッジ(早朝漕いだときに朝日がよく当たるエリア)に入ります。まらまた湖の紅葉と冠雪した笠ヶ岳ですが雪は見えづらいようです。



サンシャインヴィレッジから至仏の間(至仏山に近い広いエリア)に入ります。散り始めに近い頃でしたが、日光を浴びた紅葉が輝いていました。



のんびりとパドリングをしながら奥利根の深まる秋を堪能します。









小石沢へと続く入り江の小石(小石沢直前のワンド)に入ります。



それほど奥が深い入り江ではありません。突き当たりで沢は分岐しています。新緑の季節は雪で塞がれていることが多く、突き当たりまで到達することができません。



分岐した沢の様子です。長い年月をかけて谷を侵食しながらV字谷が形成されるのかな。分岐の右側が小石沢です。



小石を出て至仏の間を奥へ進みます。ブナやナラなど高木が林立した紅葉もきれいですが、ミヤマナラなどの低木が密集した紅葉もまたきれいです。ならまた湖では両方の紅葉を楽しめます。



まらまた湖の紅葉と冠雪した至仏山、なめらかな湖面に至仏の山容がきれいに映っていました。



大石沢へと続く入り江の大石(大石沢直前のワンド)に進みます。



左岸にそそり立つキャッスルウォールと一面が低木で覆われた岩肌の斜面、午前中は日かげになるため鮮やかさは今一つでした。ここはお昼頃に訪れると鮮やかな景色が見られるのかなぁ。あ、キャッスルウォール(城壁のような岩壁)は私が勝手につけた名称です。





大石は少し奥が深い入り江です。水面に反射する紅葉を楽しみながら奥へ進みます。



両岸が狭まってくると水面には浮遊物が目立つようになります。奥へ行くと水面は流木や木くず、枝葉などで覆われていました。この澱みゾーンを抜ければ清流ゾーンになりますが、浮遊物の中を進むのは難しそうでしたので引き返します。新緑の季節は正面の岩肌が見える付近まで雪渓が迫ってきます。



ビバ青空!、紅葉狩りはやっぱりこうでなくっちゃ。暖かな日差しのもと、風も弱く紅葉カヤックには最適の日和となりました。



大石を出て最奥のエリアとなるファイナルファンタジー(あと少しで本流の流れ込みに到達できるエリア)に入ります。ここからは徐々に両岸の幅が狭まっていきます。



岩を絵取る紅葉、一面が橙色に染まる岩肌の景色を楽しみながらのんびりと湖の奥へ進みます。そういえば奥利根湖の奥利根深水の滝(万年滝)の周辺も一面が橙色に染まっている頃かなぁ。



両岸が迫り、この先の突き当りで湖は右に折れていますので目的地はまもなくです。日かげになるとちょっと寒いです。



途中、西桶小屋沢に寄ってみます。浮遊物で水面は塞がれ入れる余地はありませんでした。。



湖を奥へ進むとこちらも流木や木くずなどの浮遊物で一面が覆われていました。左側は比較的流木などの障害物が少なかったのでパドルで掻き分けて何とか澱みゾーンを進みます。



澱みゾーンを抜けると清流ゾーンに入ります。澄んだ水がきれいでした。河床が見えてきましたので目的地はすぐそこです。



ならまた湖の最奥地となる楢俣川の本流(ならまた湖源流の流れ込み)に到着です。なかなか勢いがある流れです。左岸にちょっとしたエディがありましたので艇を寄せます。新緑の季節は雪解け水で流量が多く、艇を寄せられる場所はほとんどありません。



艇を降りて川岸を少し歩いてみました。上流に橋が架かっていますので見に行こうと思いましたが歩ける場所がなかったです。水は冷たいので川に落ちたらヤバそうです。



わずかな時間でしたが冷えてきたので戻ります。再び澱みゾーンに入ります。そうそう、流木などによりパドルで漕ぐことが難しい場合に澱みゾーンを抜けるよい方法を見つけました。障害物が少ない方向にバウを向け、シートにまっすぐ座り腰をぐいと前に突き出します。浮遊物のなかをそこそこ進むことができました。帰りはこの方法で進んだところ行きよりも早く脱けることができました。



本流を後にして、東桶小屋沢に進入します。ここは満水位であっても艇を寄せやすい場所です。お昼を食べるのにいいかな。ただ野生動物には常に用心するのが無難です。



ファイナルファンタジーから至仏の間へ戻ります。ブナ林とミヤマナラの群生地が隣り合っている場所がありました。前週は黄葉がきれいだったんだろうなぁ。



再び大石に寄ってみました。先ほどは日かげであったキャッスルウォールに日が差しているのではとちょっと期待しておりました。・・・やはり午前中は日かげのままのようです。。



大石を後にして至仏の間を進みます。至仏山の山肌に日が当たり冠雪の様子がはっきりと見えました。本流方面で数艇のカヤック・カヌーを見かけました。この日は絶景を楽しみに多くの方々が湖面利用をされていたようです。



ワッフル(格子状の斜面の模様がワッフルの模様に似ている)の前を通過します。人工的なのり面ですがススキがいい感じに秋色を色取っていました。



至仏の間から笠の間(笠ヶ岳に一番近いエリア)に入ります。このエリアは湖面が展けており、周囲に高い山がないため空が広く見渡せます。



湖の東岸に位置する小楢俣沢へ入ります。ジャングルクルーズ(細い水路がまるでジャングルの中を進むようだから)を進み流路工の最奥まで行ってみました。立ち木の合間を縫いながらスラローム漕行を楽しみます。





沢巡りでは最後となる洗ノ沢へ向かいます。



湯ノ小屋導水路には水が流れていました。満水であっても取水しているようです。導水路吐口の前を通過して奥へと進みます。



導水路吐口から奥は浮遊物で塞がれていました・・・。これより先に進むのは無理かな。この奥に幻の滝(春の満水時しか近づくことができない滝)がありますが見ることはできませんでした。満水時であっても近づけないことがあるため、そういった意味でも幻の滝かも!?



湯ノ小屋導水路を後にして戻ります。雲一つない青空が清々しいです。



笠の間の真ん中辺りから東に位置する尾瀬の山並みを見渡します。なだらかな山々の後方に笠ヶ岳、小笠の凛々しい山容が引き立ちます。斜面を彩るカラマツの黄葉がきれいです。



笠の間の真ん中辺りから西の方面に見える山並みを眺めます。標高1,200m付近の尾根から中腹にかけては落葉がだいぶ進んでいました。ならまた湖で紅葉を楽しむことができる最後の週末だったようです。



笠の間からサンシャインヴィレッジウィンディストレートへ進みます。再びリトルカナダの入り江に入ります。板目沢方面の斜面に日が当たるようになり鮮やかな景色が広がっていました。



引き立つ紅葉を観賞しつつリトルカナダの入り江を奥へ進みます。



陽光が射し込む板目沢です。カヤックでここまで進入できたのはこの日が初めてです。谷間を見上げると青空に白い機影が映えていました。



気になっていた地名、場所はすべて巡ることができました。リトルカナダを後にして出艇場所に戻ります。



早い時間帯では見ることができなかった冠雪した尾瀬の峰々。山並みがよく見渡せるビートルズの入り江の奥まった場所から撮影してみました。



まったり岬(帰りに強い向かい風にあったとき、この岬まで漕ぎつくと気持ちが安心するから)越しに武尊山を望みます。武尊山も白く見えている場所がありました。高台に見えているのは奈良俣ダム管理所です。



ウィンディストレートからウォーターワールドへ進み、堤体を眺めながらキャンパーズビーチに戻ります。キャンプ場の奥には至仏山が見えています。



出艇場所に到着です。階段のすぐ上が駐車場ですので貯水位が高いと艇や荷物の運搬がらくちんです。キャンプ場の周囲はカラマツの黄葉が見頃となっていました。



漕ぎメーター。漕いだ距離は約17km、漕いだ時間は約4時間30分でした。地名を巡りながら写真を撮りつつ、紅葉を観賞しながらのんびりとしていましたのでいつもより進む速度は遅かったです。



漕ぎマップ。それぞれの目的地を最短で結ぶルートで漕ぎました。見応えのある紅葉や気になる景色が目に入ったときは所々で寄っていましたのでまとまりのない軌跡になっています。



今回の漕ぎ度は「5」です(MAXは10)。強い風が吹くことなく、おおむね快適な気温のなかのんびりと過ごせました。紅葉を楽しみながらのんびりとパドリングをしていましたので疲れはほとんどなかったです。
紅葉の最盛期は少し過ぎてしまったようですが、錦秋の景色を満喫することができました。また冠雪した山々をいっしょに見ることができ見応えがある景色を堪能しました。秋晴れのもとでの紅葉カヤックは気分も晴れやかになります。
ならまた湖での紅葉カヤック、場所によって訪れる時間を調節すると一層楽しむことができそうです。日当たりを考えるとお昼頃がベストのような気がしますが、この頃になると風が強くなることがあります。風が比較的穏やかな午前中、日当たりがよいお昼頃、んー、今後ならまた湖での紅葉カヤックは悩みそうw

駐車場で昼食をとり、艇を片づけて湖畔を後にしました。湖面に目を向けると光を反射するキラキラとした水面がきれいでした。



出艇場所が俯瞰できる場所に移動します。地肌が見えない満水の景色が引き立ちます。紅葉の時季の満水は次はいつ見られるかな。



堤体に立ち寄り貯水位を表示する量水標を確認します。水面は887.9m付近にありました。満水位の888.0mに少し足りませんでした。



ということで、紅葉と奈良俣ダムの美しい放流シーンの組み合わせは見ることができませんでした。こちらはまたの楽しみになりました。帰り道、藤原湖の紅葉の様子を確認して奥利根を後にしました。




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