関越道でみなかみに向かっていると沼田IC付近の路肩に設置されている温度計は4℃を表示していました。この日の朝は放射冷却の影響で今季一番の冷え込みになったようです。谷川岳の周辺の山々は冠雪していないかなと思い、みなかみに到着後いつものように利根川に架かる諏訪峡大橋から谷川連峰を眺めてみました。峰々に雪はなく雲に覆われていました。
矢木沢ダムに到着すると青空が広がっていました。いい天気のもとで紅葉カヤックを楽しめそう。駐車場で艇を組み立てた後、貯水位を表示する量水標を確認します。この日の水面は848.6m付近にありました。この一週間で1mくらい貯水位が上がりました。この感じだと10月末頃には満水になるかな。
進入路ゲートの横の進入路監視小屋で入湖の手続きを済ませます。30艘近くのボートがすでに出発していったようです。
水際へ艇を運搬し準備を整え出艇しまーす。満水位までは約1.4mの貯水位です。出艇できる場所がだいぶ狭まってきました。
出発後すぐ目に入る小白沢方面の景色です。前回は色づきがきれいだった標高1500m付近の山々の木々は落葉が始まっていました。
ダムの堤体を背にして、Y字の分岐へ向かいます。ここ数日気温が下がってきましたので、この一週間で色づきがだいぶ進みました。
Y字の分岐に到達しました。今回はY字右側の本川(利根川)方面へ向かいます。
奈良沢方面の群馬・新潟の県境に位置する越後山脈の峰々を眺めながら分岐を右へと進みます。
山間に見えるイラサワ山、小沢岳、幽の沢山を望みます。標高1946mの小沢岳の初冠雪はこれからのようです。
鮮やかに色づいた木々が湖岸を彩ります。このような光景を目にするとパドルよりカメラを手にしている時間が長くなり、なかなか前へ進みませんw
湖岸に近いブナは黄葉が見頃、標高1200m付近の稜線に近いブナは落葉が間近といった感じです。ブナの黄葉の見頃は、一週間で標高が300mずつ下がっているようです。
大白沢へと続く入り江付近からは左岸から右岸へとルートを移します。湖の真ん中辺りからは、奥利根湖の西に位置する家の串から刃物ヶ崎山へと続く稜線が目に留まります。
刃物ヶ崎山(標高1607m)を頂とするコツナギ沢と白ビ沢の分水界となる尾根筋を眺めます。橙色に染まった岩壁の光景が壮観でした。
大立合せ沢から割の萱沢までは約2.5kmの見通しがよい直線が続きます。湖岸を彩るブナの黄葉、色づいた山々の絶景を満喫しながら奥へと進みます。
西千ヶ倉沢へと続く入り江への入り口の斜面、私が思う奥利根湖の見所の一つで新緑と紅葉がきれいな場所です。もうしばらくすると多様な色彩が混在する綾錦をまとった美しい景色が楽しめます。
西千ヶ倉沢へと続く入り江を過ぎ左へ転回すると奥利根深水の滝(万年滝)がある斜面が見えてきました。先日「奥利根猟師地図」を見ているとこの独特な岩肌が広がる場所には「ツツヂガヒラ」との地名がありました。ツツジの群生地になっているのかな。
割の萱沢の様子を眺めつつ右岸から左岸へとルートを移します。割の萱沢の斜面もなかなか迫力がある景色です。
滝がある斜面を真っ赤に色づいたモミジ越しに何となく眺めてみました。
滝の正面に移動します。滝の周辺のミヤマナラなどの低木は緑色、黄色とまだ色づき始めですが、この後は橙色へと変わります。岩肌一面が橙色に染まる光景もまた見事です。橙色の景色は10月末頃が見頃になるのかな。
両岸が徐々に狭まりくびれとなる区間へ進みます。そういえばたくさんのボートが出発していきましたが、小黒沢より奥ではボートを見かけることはありませんでした。私一人でこの絶景を楽しんでいました。
ビバ青空!、黄葉を愛でるにはやっぱりこうでなくっちゃ。暖かな日差しのもと、風も弱く紅葉カヤックには最適の日和となりました。
この谷間のくびれを抜けると奥利根湖のファイナルファンタジー(あと少しで本流の流れ込みに到達できるエリア)に入ります。
くびれを抜け、利根川(右)と小穂口沢(左)の出合いに到達です。
まずは小穂口沢へ進みます。右岸の大木のトチノキはすでに葉を落としていました。
奥まで行ってみたかったのですが、流木や木くずなどの浮遊物が湖面を覆っており進むことができませんでした。
出合いに戻り利根川方面へ入ります。
河原が見えてきたのでそろそろ行き止まりになりそうです。
流れがある場所へ入ると水がとても澄んできました。水底に影がくっきりと映ります。
もう少し行けそう、流れに逆らい行ける所まで行ってみます。
カヤックで漕ぐことができた利根川の最上流部、奥利根湖の最奥地に到着です。河原にちょうどいい天然の船着き場ができていましたので艇を寄せて昼食、休憩です。
以前奥利根湖の地図を見ていて最奥地から支流の水長沢までそれほど距離がないことを知りました。雪解けの時期など流量が多いときは行くのが難しいため、流量が少ないこの時季を待っていました。
ということでちょっとだけ利根川を遡行してみました。途中、渡渉の際に水深を見損なって膝まで水に浸かるというアクシデントがありましたが、数分で利根川と水長沢の出合いに到着です。
水長沢の様子、手つかずの自然が残る感じの趣がある渓流でした。
水長沢との出合いから上流の利根川の様子、水がとても澄んでいました。この先も興味深いところですが、大型の野生動物と遭遇すると困るのでここで引き返します。
上流から見る奥利根湖の最奥地、これまで何度か訪れていますが、ここへ到達できると感慨深いものがあります。
河原を後にして戻ります。清流ゾーンを過ぎると行きにはなかった流木や木くずなどの澱みゾーンが行く手を阻みます・・・。そういえば休憩しているときに下流方面から風が吹いてきました。浮遊物の吹き溜まりになっていました。。パドルで掻き分けて事なきを得ましたが、ちょっと焦りました。
奥利根湖を漕いでいると大きなコイの魚影を見かけることがあります。最近は驚くことはなくなりましたが、この日急に視界に飛び込んできた流木には驚きました。奥利根湖のヌシと遭遇したかと思いました。
帰りは向かい風になりました。さざ波の湖面に光が反射してきらきらときれいです。くびれを抜け滝に向かいます。
滝がある斜面が見えてきました。滝は窪んだ場所にあるため陰になってしまっています。
滝を正面から見上げます。水量は少なめでした。この季節は午前中の早い時間帯でないと滝は日かげになってしまいます。
割の萱沢の上方の斜面、標高約1300mの岩肌を染める紅葉が見事でした。
帰りは陽光に向かってのパドリングです。向かい風に逆光ですのでパドルとカメラを持ち替える頻度は行きに比べだいぶ少なくなりました。なので~、帰りの画像は少なめですw
所々で小休止をしながら興味深い根株やきれいに色づいた木々を観賞します。
Y字の分岐まで戻ってきました。奈良沢方面からの波と堤体方面からの波で三角波のような複雑な波が形成され何とも漕ぎづらかったです。
出艇場所の対岸付近の紅葉がきれいでしたので、ちょっとだけ遠回りしてみました。
秋空に紅葉した奥利根の山々が映えていました。青空のもとブナの美しい黄葉を堪能できました。
満水近くの水を湛える矢木沢ダムの堤体を眺めながら出艇場所に戻りました。
漕ぎメーター。この日漕いだ距離は約21km、漕いだ時間は5時間ほどでした。行きと帰り、ともに2時間30分ほどの漕行でした。
漕ぎマップ。この日のルートは、出艇~Y字分岐~割の萱沢~奥利根深水の滝(万年滝)~小穂口沢~本川(昼食)~奥利根深水の滝(万年滝)~Y字分岐~着艇でした。10月以降は湖面利用ができる時間が短くなりましたので、できるだけ最短となるルートを漕ぎました。
今回の漕ぎ度は「8」です(MAXは10)。久しぶりに20km超の距離を漕ぎました。帰りは向かい風になりましたが前回鍛えられたことにより、疲労は少なくて済みました。
この日の奥利根湖の紅葉は全体的には見頃よりちょっと早めだっかもしれませんが、期待していたブナの鮮やかな黄葉を見ることができ満悦です。ブナの黄葉は一週間後には落葉しているという苦い経験をしていますのでこの日はちょうど頃合いだったような気がします。ブナの黄葉の後はミズナラやカエデなど多様な樹種が色づき山々や湖岸を彩りますので、また風情の異なる紅葉が楽しめます。紅葉が見頃のときにまた来られるといいな♪
カヌーワールドVol.17の発売日が待ち遠しい今日この頃ですw
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